彼女の作り方を忘れたら[原創]

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町内会主催のガレージセールで女性との出会い

   

町内会主催のガレージセールに僕も参加することにしました。僕が出すのは本、雑誌、それにCDです。衣類や家具、植木や骨董品、人形等があちこちの露店で販売されています。ひとり、僕と同年代ぐらいの女性がひとつ置いた隣で、笊に盛った柑橘類を打っていました。少し丸顔の、どこかアンパンマンに似たかわいらしい女性です。その彼女が、客がとぎれた合間に、僕のところにやってきました。

「売れますか」
「見るひとは多いけど、なかなか買わない。きみのところは」
「半分は売れたかしら」
「見た目に新鮮だからな」
「家で作っているミカンなの。私が朝もいできたの。よかったら、どうぞ」
と彼女が笊から一個をとって、ぼくにくれました。

「うまい」

それは本当に、もぎたての爽やかな甘さに満ちていました。

「僕もなにかプレゼントしなくちゃな」
「あら、いいのよ」
「これ、もらってくれる。自作のCDなんだ」
「まあ、あなたミュージシャンなの」
「学生時代に、仲間のバンドたちで作ったんだ」
「ありがとう。どこかにカセットデッキあったわね」

彼女は電化製品の店に行き、本当にデッキを借りてもってきました。

「素敵」

デッキから流れる僕のCD音楽に彼女は感動した模様です。
ミカン一個では足りないと思ったのか彼女が笊の残りのミカンを全部もってきてくれました。

「こんなにもらうんなら、買うよ」
「いいの、いいの。私ミュージシャン好きなの」

と僕を憧れのまなざしでみつめるのでした。

「僕も、農業する女性って、好きだな。いちどきみがコカンをもいでいるところを、見てみたいよ」
「いつでも家に見にきてちょうだい」

そんなわけで僕は、翌日早速、彼女に教えてもらったミカン畑にでかけました。
そこは小高い丘の上で、何本もならぶ木の繁みにいっぱいのミカンがなっていました。

「ここよ。はいってきて」
繁みの下から彼女が僕に手をふりました。

「見事なミカン畑だね」
「私とおじいちゃんで手入れしたの」

そのおじいちゃんも、どこかの木でミカンを採っているとか。

「いくらでももいで、好きなだけ食べてちょうだい」
「そんな、わるいよ」
「いいのよ。ひそのかわり、一曲歌って」

それならと僕は、ひさしぶりに自作のロックを披露しました。
彼女は、CDのとき以上に感激し、僕の唇に自分の唇をギュッと押しつけてきました。

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